概要
GMT (Generic Mapping Tools) は Paul Wessel と Walter H. F. Smith によって開発されている地図描画ソフトウェアです。
最新のバージョン6.xは2世代前のバージョン4.xから使い方が大きく変わりました。その間のバージョン5.xは過渡的な感じです。ここではWindows版のバージョン6.5を扱います。
基本的な使い方
GMTはコマンドプロンプトから実行するツール群です。基本は”gmt begin
“で始まり”gmt end
“で終わる複数のコマンドで構成されます。”gmt begin
“と”gmt end
“の間には複数の描画コマンドを置くことができます。
gmt begin [prefix] [format] (描画コマンド) gmt end
以下、頻繁に使う描画コマンドの例を示します。
海岸線を描く
例えば、地図(海岸線)を描くには “gmt coast
“を使います。以下のコマンドを実行すると、gmt6_japan1.png が作成されます。
gmt begin gmt6_japan1 PNG gmt coast -Jb137.5/35/30/40/1:2e7 -R120/155/20/50 -Ba5g5 -W0.25p,black gmt end

gmtコマンドでは、”-“(ハイフン)で始まるオプションで様々なパラメータを設定します。”-Jb137.5/35/30/40/1:2e7
“は地図投影法と基準の経度緯度、最後のパラメータは地図の縮尺です。”-R120/155/20/50
“は描画する地図の範囲(経度と緯度)です。”-Ba5g5
“は外枠の描画方法です。(経度と緯度の)5度ごとにグリッド線と数値を描きます。”-W0.25p,black
“は描画する海岸線の太さと色(0.25pointの黒)です。
記号を描く
経度緯度を指定して、地図上に記号を描くことができます。記号を描くには”gmt plot
“を使います。先ほどの”gmt coast
“の後に1行追加してみました。便宜上出力ファイル名も”gmt6_japan2
“に変えています。
gmt begin gmt6_japan2 PNG gmt coast -Jb137.5/35/30/40/1:2e7 -R120/155/20/50 -Ba5g5 -W0.25p,black echo 139.692 35.689 | gmt plot -Sa0.4c -Gred gmt end

経度139.692度、緯度35.689の点に赤い星が描かれました。”echo 139.692 35.689
“の部分と続く”|
“(パイプという) で”echo
“に続く数字の部分がデータとして”gmt plot
“に渡されます。”gmt plot
“のオプション”-Sa0.4c
“は記号の種類を0.4cmの星形と指定しています。”-Gred
“は記号の塗色を赤に指定しています。
文字を描く
同様に経度緯度を指定して、地図上に文字を描くこともできます。記号を描くには”gmt text
“を使います。先ほどの”gmt plot
“の後に更に1行追加してみました。
gmt begin gmt6_japan3 PNG gmt coast -Jb137.5/35/30/40/1:2e7 -R120/155/20/50 -Ba5g5 -W0.25p,black echo 139.692 35.689 | gmt plot -Sa0.4c -Gred echo 139.692 35.689 Tokyo | gmt text -Dj0.2c -F+f9p,Times-Roman,blue+jLM gmt end

経度139.692度、緯度35.689の星の脇に”Tokyo”と描かれました。”echo 139.692 35.689 Tokyo
“に続く”|
“(パイプという) は前節と同様、echoに続く数字と文字列の部分がデータとして”gmt text
“に渡されます。”gmt text
“のオプション“-Dj0.2c
“文字描画の開始位置を0.2cmずらすように指定しています。”-F+f9p,Times-Roman,blue+jLM
“はフォントの指定です。”+f9p,Times-Roman,blue
“記号の部分はフォントのサイズ、フォント名、描画色で、”+jLM
“は文字列の揃え方です。L、CまたはRで左、中央、右揃え、T、MまたはBで上、中、下揃えを指定します。